酒BARよらむ(京都東洞院二条)
次は,少し離れた二条通のこの店に.ガラスの扉を開けると,玉砂利の上に飛び石が配置されていて,そこを通って奥がカウンターという非常に京都らしい贅沢な作り.店主のオフェル・ヨラム氏(イスラエル人だけど,日本語は堪能)に聞くと,あまり広い店にしたくなかったからだそうで,京都は飛び石とかが簡単に入手できるからとのことだが,この思い切りが凄いと思う.
お通しはゴマ豆腐.どんな酒がいいか?と聞かれたが,東京であまり飲めない酒がいいということで,これらの酒を選んでもらった.基本的には,この店は熟成した酒が強い感じである.燗を頼むと,徳利を鍋で湯煎してくれた.蒼空は伏見の酒のわりには,ちゃんとした食中酒っぽい造り.熟成させた秋鹿はもちろんうまい.梅の宿は,長期熟成でも低温保存すると過度に熟成しないということでえらんでもらったが,確かにその通りであった.
この日は先客にアメリカ人がいて,旨い,旨いと言いながらばんばん日本酒を呑んでいた.ヨラム氏には,英語で喋ってごめんなさいと言われたが,その後私も雑談に参加したりして,アメリカ人が帰ってからはディープな日本酒談義.なお,彼は竹鶴が嫌いで,「こんなにしっかりしたお酒を,熟成不充分の状態で出すのは信じられない」という理由だったが,彼が見せてくれたのが小笹屋竹鶴の宿根雄町だったので,「これは特に熟成が遅い米なんだよ」と言っておいた.番外編を推薦しておくとよかったかな.
この店は,揃えたお酒の傾向と店主のこだわりの強さから,万人向きの店とはとても言えないが,熟成酒好きなら一度行ってみるとよいと思う.なお,昼は友人が「手打とおる蕎麦」という蕎麦屋をやっているそうである.