まる井（静岡市葵区）
次は日本酒バーのまる井に．ビルの奥にあるドアを開けて中に入ると，女性店主らしい細かいところまで気を配ったすてきな店内である．ここは静岡の地酒を中心にした日本酒バーで，日本酒のリストを見せてもらうと，黒龍を除くとオール静岡の酒の純米・吟醸が中心．特に河合氏の出身である藤枝氏の喜久酔に力を入れているようで，これは普通酒から大吟醸まで幅広くラインナップしている．「私が好きな日本酒」を選んでいるそうで，静岡の酒でも華やかなものより，比較的味がしっかりしているものが多いようである．
料理は，鮪の山掛け，イカの塩辛，叩き胡瓜で，基本的に少量でお酒のおつまみになるようなものを中心にしているそうで，お客も二軒目，三軒目に来ることが多いとのこと．
お酒は以下の通り．インターナショナル・サケ・チャレンジ2008の最優秀吟醸を受賞したということで，杉錦を呑んでみるが，これは吟醸と言えども杉錦らしい過度な香りを抑えたしっかりした酒．次は國香のお燗を頼むと，かんすけでお燗してくれた．
まだ開店して一年経っていないからか，日本酒の知識や燗つけ技術には自信がないようなことを言っていたが，女性の強みは感性で的確に判断できることで，知識を詰め込みすぎて振り回されがちが男性よりも正しく味わえることが多いし，なによりこの店がそれを実証していると思う．まあ「美人女将のいる店」評論家の某氏が静岡に来ることはないだろうが，もし万が一近くに来たら寄ってみる価値はあるかもしれない．
ちなみに，今回参考にしたアットエスの「静岡の地酒が呑める店」の連載は本当に素晴らしい．店の雰囲気をよく伝えており，自分の好みに合うかどうかの判断もしやすいし，何より日本酒が好きだという気持ちが感じられる．燗酒党向けに，どのようなお酒をお燗してくれるかの情報も忘れていない．日本酒が好きな女性ライターの鈴木真弓氏の記事だが，この連載は行かない人でも読んでいて楽しいだろう．
